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月別アーカイブ: 2026年1月

豊和設備工業のよもやま話~14~

皆さんこんにちは!
株式会社豊和設備工業、更新担当の中西です。

 

 

FCAWはフラックス充填パイプ状ワイヤを用いるため、自己防護型(FCAW-S)ではシールドガス不要で屋外・高所・風環境に強く、ガスシールド型(FCAW-G)ではCO₂やAr混合で高能率×高品位を両立できます。高溶着速度・多姿勢適性・厚板対応が三種の武器。ここでは条件設計→欠陥ゼロ化→段取り→投資判断までを実務で使えるレベルに落とし込みます。⚙️

 

1|プロセスの全体像(SとGの違い)
• FCAW-S:風に比較的強い/ガスボンベ・ホース不要/スラグ厚め/ヒューム多/外観はやや粗い傾向。屋外梁・仮設・補修に◎。

• FCAW-G:ガス遮蔽で金属光沢と低スパッタ。多層多パスの突合せ・隅肉で一次合格率が高い。工場製作・屋内構造物に◎。

 

2|条件設計の出発点(5要素)
1) ワイヤ径(1.2/1.4/1.6mm):厚板・姿勢・狙う溶着速度で選定。

2) 電流・電圧:短アーク=安定・低スパッタ、高すぎる電圧はアンダーカットの温床。

3) CTWD(突出長):10〜20mm目安。長い→電流低下・融合不足、短い→スパッタ増。

4) 移行モード:スプレー/パルス対応銘柄の活用。

5) ガス(Gのみ):Ar-CO₂(80/20)万能、90/10でスパッタ低減、100%CO₂はコスト重視。流量12–20 L/min。

 

3|運棒・姿勢の“型”
• ドラグ(引き)が基本:スラグを後方に保ちスラグ先行で融合と濡れを安定。

• 上進隅肉:三角ウィーブで止め・置き・送るをリズミカルに。端部で1拍置く。

• ルートパス:開先付き突合せはSMAW/TIGでルート→FCAWで充填のハイブリッドが安定。

 

4|欠陥と“現場是正のコツ”
• スラグ巻込み:織り幅広すぎ/端部滞留不足/層間清掃不足→織り幅を板厚相応に、端で止める、層間ブラシ+チッピング。

• アンダーカット:電圧高/速度過大→電圧−1〜2V・速度▼、角度10〜15°。

• 気孔:風・湿気・油→遮風・乾燥・脱脂。Sでも遮風板が効く。

• 融合不良:CTWD長すぎ・入熱不足→突出短縮・電流↑、開先見直し。

 

5|段取り・治具・環境
• 遮風スクリーン:梁上は必須。火花下階侵入も同時に遮蔽。

• 仮付位置:最後に消える場所に配置し歪み計画と整合。

• 層間温度:150–250℃目安で安定、赤外温度計で数値管理。

• ノズル・チップ・ライナ:スパッタ付着→ガス乱流の元。清掃をタクト内に組み込む。

 

6|実務A3:a8隅肉(立向上進)の標準化
• 条件例:ワイヤ1.2mm、電流180–220A、電圧22–24V、CTWD 15mm、Ar-CO₂(80/20) 15 L/min。

• 動作:三角ウィーブ、端で“止め”0.3秒、戻し終端。

• 検査:a寸ゲージ、余盛2–3mm、アンダーカット深さ<0.5mm、層間PT(必要時)。

 

7|安全・健康
ヒューム・騒音はGMAWより多い傾向。局所排気・送気・耳栓の“三種の神器”。ヒューム溶接作業の規制対応(SDS・測定)を運用。

 

8|コスト・ROI
溶着速度(kg/h)×再工率で実力比較。FCAW-Gはガス費が増えるが一次合格率↑で総原価↓のケースが多い。ノズル清掃の自動化も効果大。

 

9|チェックリスト
☐ 遮風スクリーン設置

☐ CTWD 10–20mm

☐ 角度10–15°(ドラグ)

☐ 層間ブラシ・チッピング

☐ ガス流量とノズル清掃

☐ 終端“戻し”でクレータ処理 ✅

 

10|まとめ
FCAWは“外でも強い半自動”。遮風・短アーク・層間清掃の三点セットを標準化すれば、厚板・多姿勢で最短距離の品質が出せます。次回はSAWで長手厚板の生産設計に踏み込みます。

 

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豊和設備工業のよもやま話~13~

皆さんこんにちは!
株式会社豊和設備工業、更新担当の中西です。

 

 

TIGは非消耗電極+不活性ガスで入熱とプールを緻密に制御でき、薄板・配管ルート・SUS・Ti・Alで無二の成果を出します。清浄・シールド・入熱の三点を“儀式化”しましょう。✨

 

1|電源・極性・ACバランス
• DCEN:鋼・SUSの基本。溶け込み深く、タングステン消耗小。

• AC(Al/Ti等):クリーニング作用で酸化皮膜破壊。バランスを整え、熱入力と皮膜除去を両立。

• パルスTIG:ピーク/ベースでプールの温度を管理、薄板すき間に強い。

 

2|タングステンと先端研磨
• 種別:純W、2%トリウム(近年はセリウム/ランタン系推奨)、ジルコニア(AC用)。

• 径:0.8/1.6/2.4/3.2mm。電流に合わせ選定。

• 研磨角:30〜60°。軸方向研磨でアーク集中、同心円研磨は厳禁。

• ボール化(AC):過度はアーク拡散→適度な丸みに留める。

 

3|トーチ・カップ・ガスレンズ
• カップ#4–#12を使い分け。大カップ+ガスレンズで長い突出でもシールドを保持。

• ガス:Ar主体、厚板・高熱でHe混合。流量8–15 L/min(大カップは増量)。

• トーチ角:10–15°、押し(プッシュ)が基本。

 

4|前処理と清浄(儀式)
1) 脱脂(アセトン等)→乾燥。

2) 機械ブラシ(材質専用、SUSに鉄粉混入厳禁)。

3) 化学的皮膜除去(必要に応じ)。

4) 手袋交換(油汚れ移行を防止)。

 

5|裏波とトレーリングシールド
• 裏ガス:Ar(SUSはN₂微量可)。パージダムでガス節約。

• トレーリング:後方シールドでヒートティント抑制、Tiは色判定(銀〜金良好、青は過酸化)。

• ルートギャップ:板厚・姿勢に応じ最小限、ブリッジング禁止。

 

6|溶加棒の選定
• SUS:308L/316L/309L。

• 炭素鋼:ER70S-2等(脱酸力)。

• アルミ:4043(Si系)/5356(Mg系)。

• チタン:純Ti/合金同等材。清浄・乾燥が最重要。

 

7|運棒とプールコントロール
• 点滴追加:プールの先頭に一定量を規則的に落とす。

• パルス:ピークで濡れ、ベースで冷却→歪み低減。

• クレータ処理:出力ランプダウン、戻しで終端気孔を防ぐ。

 

8|薄板・極薄の戦術(0.5〜1.5mm)
• 銅板裏当てで放熱。

• 点付→間詰、連続禁止で熱溜りを避ける。

• ギャップゼロ設計と固定。ピンセット・磁石で“手が三本”状態を作る。

 

9|配管ルート(SUS 6G想定)
• ハイロー管理(段差)をゲージで。

• 裏ガス流量とパージ時間の標準化。

• ルートパスは微細な“置き”、停止厳禁。

• ホットパス以降はGTAW/GM AW切替も可。

 

10|アルミのAC設定
• 周波数:高周波数→アーク集中、細ビード。

• バランス:クリーニング多すぎ→端部曇り、少なすぎ→酸化残り。

• スタート:プリフロー・ソフトスタートでブローホールを抑制。

 

11|トラブル例と是正
• 気孔:水分・油・ガス不足→脱脂・乾燥・流量見直し。

• 焼け(ヒートティント):裏・後方シールド不足→カップ増・流量↑・トレーリング。

• 黒いすす:トーチ角過大・ガス乱流→角度修正・流量最適化。

• タングステン混入:先端溶落ち→電流↓・突出↓、先端再研磨。

 

12|チェックリスト
☐ 前処理(脱脂→ブラシ→化学)

☐ タングステン径・研磨角・突出

☐ カップ番号・ガスレンズ・流量

☐ 裏ガス/トレーリング設定

☐ パルス設定とクレータ処理 ✅

 

13|ミニケース:食品配管の裏波色
現象:裏側に茶〜青の焼け。
是正:パージ延長、流量適正化、トレーリング追加、酸洗→不動態化。色基準表で合否を統一。

 

14|まとめ
TIGは“清浄×シールド×入熱”の三位一体。色・音・プールの形を言語化し、写真標準で共有すれば、薄板・配管の品質は安定します。次回はFCAWへ。

 

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